2008年3月26日水曜日

森鷗外「伊沢蘭軒」

「・・・要するに、折衷に満足して考証に沈潜しない。学問を学問として研窮せずに、其応用に重きを置く。即ち尋常為政者の喜ぶ所となるべき学風である。
 蘭軒が豊洲の手を経て、此学統より伝へ得た所は何物であらうか。窃に思ふに只蘭軒をして能く拘儒
たることを免れしめただけが、即ち此学統のせめてもの賚ではなかつただらうか。」

 御用学者も衒学者もどちらも駄目だ。それをこういう所にさらりと書く。鷗外らしい。

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