2008年3月16日日曜日

「芸」

ゲイのカオルがマーちゃんに言う。
「とりあえず何かになるっていうのは、あんがい簡単なのよね。嘘をつけばいいんだから」
「嘘、ですか」
「嘘でもハッタリでも、肚をくくっちゃえばいいんでしょう。そしたらなれるわよ。役者でも、医者でも、オカマでも。もしかしたら総理大臣にだってなれるわ。でも、とりあえずそうなってから、そのさき本物になるっていうのはものすごく難しい。それが、芸っていうやつじゃないのかな。あたしがさっき、もう自信がないって言ったのはね。つまりそういうこと。嘘をつき続けて芸にしちゃえるほど、根性も才能もないわ」
(浅田次郎「マダムの咽仏」)
 「嘘」をつき続けて「芸」にしてしまうこと。最近このブログでも話題になっていた「教育」や「教師」をめぐる問いへの解が一つここにもある。

0 件のコメント: