2008年10月31日金曜日

最近の私

 最近の「ノマドの窓」は勉強のメモばかりで一向に肉声が聞こえてこないという苦情も来ているし、久しぶりに一つ。
 ブルガリアに来て15ヶ月。自分が大きく変わったと思うことは本当に勉強が好きになったということである。それ以外のことには殆ど興味がなくなってしまった。勉強といっても狭義のそれだけではなく、広い意味で自分が価値あることと思うようなことが学べることなら何でもよい。大学の授業にしても業務にしても、さらに単なるおしゃべりにしても、自分が本当に必要とされているものやことに関しては自分もやりがいを感じて一生懸命やるし楽しい。それは自分も学ぶことが多いからだ。しかし、僕でなくてもできるだろうと思えるようなことは全くやる気が湧いてこない。要するに自分だけの「居場所」がほしいのだろう。しかし、生きていると、それが見出せない場所や時間の中に身を置かねばならぬ羽目に陥ることもある。僕のように24時間我儘放題に生きているように見える人間でもそういう場面に投げ込まれてしまうことも時にはある。それは極めて苦痛な時間である。一刻も早く逃げ出さなければ神経がおかしくなってしまいそうにさえなる。パーティなどでも、一人でぼうっとしていなければならない時間もある。その度にいつも、自分は一体ここで何をしているんだろう、こんなことに時間を浪費していたくない、と思う。
 日本にいたときからずっとお前はそういう人間じゃないかとおっしゃる方も多いだろう。だとすれば、それがますます昂じて、殆ど「鬼」の領域に入りつつある、と考えていただくのがよいかもしれない。
 困ったことではあると思う(特に周りは迷惑している)が、どうやらこの生き方を死ぬまで続けていく、そしてますます激しくそうなっていく、だろうことだけは間違いなさそうだ。
 はい、「最近の私」でした。

2008年10月27日月曜日

Il Canto

Luciano Pavarotti - Il Canto
 前にも紹介したが、今日はあるブルガリアのサイトのおかげでテクストも入手できたので改めて紹介する。聴くたびに「鬼」が涙ぐんでしまう歌というものはめったにあるものではない。それにヴィデオに出てくる素人の人たちもみんないい。ブルガリアの人たちとも共通する「地中海人」の温かさを感じる。哀しみと温かさ。これはちょっとよそにはない。

Luciano Pavarotti - Il Canto текст
(видян: 86 пъти)
La notte qui non torna più
dal giorno che sei andata via,
ed il cielo ha smesso di giocare
con le stelle e con la luna,
e le nuvole sono ferme qui
come lacrime che non cadono.
Vedi come il tempo
perde anche il ricordi,
resta solo il canto
di un amore che non muore,
Prendi la mia mano,
danza con il vento.
Apro le mie ali,
posso solo amarti cosí.
Vieni, vieni
via con me.

(The night hasn't returned here,
Since the day you went away,
and the sky has ended its game with the stars and the moon,
and the clouds are still standing
like tears that cannot fall.

Look how time changes memories as well,
There remains only the chant
of a love that never dies
Take my hand, dance with the wind,
I spread my wings,
I can only love you this way,
Come, come away with me.

Look how time.... )

Massive Stars in Open Cluster Pismis 24


(写真クリックで拡大)
Credit: NASA, ESA and J. M. Apellániz (IAA, Spain)

きょうのLiaison

11月のフェルデンクライス メソッド

2008年10月26日日曜日

VERLYN KLINKENBORG

The ‘If Only’ Train
 こんな経験は誰にでもあるし、このぐらいのことなら誰だって言える。と、思いますか。
 私はこの人の文章にはそんな不遜な者を黙らせてしまうだけの、とてつもない筆力を感じる。それも、どの文章を読んでも、殆どいつも。
 それは実は大変なことなのだと思う。

NGC 602 and Beyond


NGC 602 and Beyond
Credit: NASA, ESA, and the Hubble Heritage Team (STScI / AURA) - ESA/Hubble Collaboration
 銀河の写真にはそろそろ飽きてきてもいるのだが、この一枚には不思議に心を惹かれたのでアップする。

きょうのLiaison

岡本教会バザー

2008年10月25日土曜日

Visionaries

 BBCが時おり行う特集である。視聴者による投票により史上最もVisionaryな芸術家を選ぶ。今回は作曲家特集で、武満徹がショスタコーヴィッチに21%対79%で敗れた。これは投票前から予想されていた結果だ。寧ろ世界で史上最もVisionaryな作曲家10名のノミネーに武満を入れたBBCの見識が高く評価されるべきだろう。
 ちなみにその10名の中でも古今東西最もVisionayな作曲家はという話になって、出演していた5名の音楽家たちは異口同音にバッハを挙げた。賛成する。

2008年10月24日金曜日

Barbara Ehrenreich

Report From the Socialist International Conspiracy
 そこいらのゴミの書くものと比べればもちろん面白いことは面白いのだが、彼女の真価を知る者にはこの文章でも物足りなく感じてしまう。そこらじゅうに書き散らしてばかりいないでじっくりと腰を据えて書けばいいのに、と、ファンは思うのである。

Leonid Andrejew「犬」

 森鷗外訳。日本人のロシア文学好き、特に短編への愛は20世紀への変わり目前後に形成されたと見てよいだろう。

2008年10月23日木曜日

はあ。。。

A manga adventure through the world of wine
 幼稚すぎると今頃になって馬鹿にしないでね。それは気づくのが遅いあなたの問題であって彼らの問題ではありません。

温かさ

 年がら年中人の悪口ばかり言っているように見えるかもしれないが、そしてそれは殆どその通りなのだが、時にブルガリアの人々の温かさにほろっとすることもある。
 きのうはこういうことがあった。
 ブルガリアでは、誕生日など何かおめでたいことがあった時にそのおめでたいことの当人がチョコレートなどを買って周囲の人にそのおめでたいことを知らせ、相手もそのチョコレートをいただき当人に祝福のことばを述べる、という素敵な習慣がある。
 きのうは、日曜日に結婚したばかりの学生が、クラス開始前にとてつもなく大きなチョコの箱を持って僕の所にやってきた。「ああ、結婚の?」と言いかける僕の前で学生はニコニコしながらそのばかでかいアソーティッドチョコの箱の蓋を取る。
 そこには真ん中にぽつんとチョコが一つ。

きょうのLiaison

指人形
ゆうきなこ展

2008年10月22日水曜日

弦楽三重奏曲第3番 ニ長調 Op.9-2

 ここ2年ほど聞き流しながら仕事をしているBeethovenOnly.comでさっき弦楽三重奏曲第3番ニ長調 Op.9-2をやっていた。28歳という若い時の作品で完成度を後期の至高の名曲群と比べることはできないし有名な曲でもないようだが、これも僕の曲だという第一印象を受けた。
 いくつになっても、愛するものが増えていくということは幸せなことである。

2008年10月21日火曜日

Universal Declaration of Human Rights: children's edition

Universal Declaration of Human Rights: children's edition (15 pictures)
 こういうのを見るとThe Guardianはまだ死んでいないと思う。

静寂。


Moons, Rings, and Unexpected Colors on Saturn(写真クリックで拡大)
Credit: Cassini Imaging Team, SSI, JPL, ESA, NASA

2008年10月20日月曜日

Paulo Coelho

 新たに3作品を発表した。pdf版で無料ダウンロードしてもいいし、購入してもよい。
Internet books
 我が道を行くCoelho。

2008年10月19日日曜日

言語における内部と外部

 Giorgio Agambenは、言語というものがそれ自身同時に「内部」でも「外部」でもあり、「直接的なもの」(非言語的なもの)が言語そのものの前提以外のなにものでもないことを真に理解した最初の人物はHegelだという(Homo Sacer)。
 「言語というものは、外部が内部的であるのと同程度に内部が外部的である、完璧な要素である。」(ヘーゲル『精神の現象学』拙訳)。
 言語教師として、常に私が立ち返る大原則の一つである。

きょうのLiaison

1.Liaison ショップカード新しくなりました。

2.福図鑑 り

2008年10月18日土曜日

新たに明るみになった日本軍による「虐殺」事件

Britain covered up Japan massacre of POWs: BBC</span>
 このような事件が無数にあっただろうことは想像に難くない。これも連合軍に報告した稀有な元日本兵の正義があったればこそ明らかになったわけで、そうでなければ他の虐殺と同様間違いなく永久に歴史の闇に葬られていただろう。
 心から真相究明を望む。またその勇気ある元日本兵のことも調査してもらいたい。そういうことを一つ一つ積み重ねていくことによってしか、日本は本当に歴史と向き合い、乗り越えていくことはできない。

国連非常任理事国

 Turkey, Austria and Japan gain at UN
 今回の選挙結果を受けた国別の当選回数は下記の通り。(Wikipediaによる)
年 国
20 日本
18 ブラジル
16 アルゼンチン
12 インド、カナダ、コロンビア、パキスタン、イタリア
10 ベルギー、パナマ
9 オランダ、ポーランド
8 オーストラリア、スペイン、チリ、デンマーク、ドイツ(西ドイツを含む)、ノルウェー、ベネズエラ、ペルー
7 エジプト、ユーゴスラビア、ルーマニア、メキシコ、トルコ
6 アルジェリア、インドネシア、ウクライナ、エクアドル、ガーナ、キューバ、ザンビア、シリア、スウェーデン、チュニジア、ナイジェリア、ブルガリア、コスタリカ、オーストリア
5 アイルランド、コスタリカ、ニュージーランド、マレーシア、ウガンダ
4 イラク、エチオピア、ガイアナ、ガボン、カメルーン、ギニア、ギリシア、ケニア、コートジボワール、コンゴ共和国、ザイール、ジャマイカ、ジンバブエ、セネガル、タンザニア、ニカラグア、ネパール、ハンガリー、バングラデシュ、フィンランド、ベナン、ボリビア、ポルトガル、マリ、モーリタニア、モロッコ、ヨルダン
3 チェコスロバキア、ブルキナファソ、リビア
2 アラブ首長国連邦、アラブ連合共和国、アンゴラ、イエメン、イラン、ウルグアイ、オーマン、カタール、カボベルデ、ガンビア、ギニアビサオ、クウェート、シエラレオネ、ジブチ、シンガポール、スーダン、スリランカ、スロバキア、スロベニア、ソマリア、タイ、大韓民国、チェコ共和国、トーゴ、トリニダード・トバゴ、ナミビア、ニジェール、バーレーン、パラグアイ、東ドイツ、ブルンジ、ベラルーシ、ボツワナ、ホンジュラス、マダガスカル、マルタ、南アフリカ共和国、モーリシャス、ルワンダ、レバノン
1 クロアチア、ベトナム、リベリア

 すぐに目に付くのは、アジア枠で日本が選ばれることが多すぎることや、中南米枠の2ヶ国、東欧枠の1ヶ国は多すぎる、というようなことである。また、地域枠だけでなく経済的階層別の枠も設けたほうがいい。
 もちろん最大の問題が拒否権を持つ五つの常任理事国(60年以上も前の第2次世界大戦の「戦勝国」)に与えられる権力が大きすぎるという点にあることは言うまでもない。そのうちの約半数は自分の力がいまだにその権力に追いついていないと言われても仕方のない国々である。
 国連が真に人類全体のガヴァナンスに大きな力を発揮できるように生まれ変わるのはまだまだ先である。

2008年10月15日水曜日

HEAVY LIGHT



 例えばこれらの二つのHiroh Kikaiの作品の持つ温かさ、私はこの温かさのようなものが日本列島に住む人々のもつ最大の魅力であると思う。
HEAVY LIGHT

学校における相互寄生関係

 Digging Out Roots of Cheating in High School
 子どもたちに対して「道徳」や「倫理」を説く前に、学校や教師はそもそもそのような子どもでもできるような「不正」を許す課題しか子どもたちに対して要求していないという構造的な視点から考えてみるべきであろう。

2008年10月14日火曜日

Александр Гельевич Дугин

Russian nationalist advocates Eurasian alliance against the U.S.
 Neo-Eurasianismだか何だか知らないが、学者とはとても呼べない知性の低さ。嘲笑するのは簡単だが、しかしポピュリストいうものはそういうものなのだろう。

ケラケラ。

 第一報を聞いた時から予想されたことだが、やはり騒いでいるようだ。
 南部さんは日本人?米国人? 人材流動化で意見百出
 先進国でございという顔をしたいなら国籍主義しかないでしょう。

2008年10月13日月曜日

Helen Simpson, Early One Morning

Early One Morning
哀しく、しかし温かい小品。

オンライン辞書

 「日本語-ブルガリア語-日本語フリーオンライン辞典」を見つけてくれる人がぽつぽつと出てきた。しかし「調べたい単語が載ってない」という指摘を受けると、申し訳ない気持ちになる。残念ながら収録語彙は現在一日20語程度しか増加していない。さらに加筆・訂正には原理的に終わりというものが存在しないことを考えると、ある程度使えるものになるのにさえ少なくとも10年はかかる。
 こればっかりは気長にやるしかない。

Úrsulaの死

 長く付き合ってきたOne Hundred Years of Solitudeにもようやく終わりが近づいてきた。

これも日本

In Japan, Hope Fades for Disposable Workers
 このNORIMITSU ONISHIはいつも本当によい取材をする。例えば現在BBCに優れた日本担当が欠けているのに比べ、NYTimesはONISHIといういい記者を持つ。

2008年10月12日日曜日

コスモポリタン漱石

「墓の此方側なるすべてのいさくさは、肉一重の垣に隔てられた因果に、枯れ果てたる骸骨にいらぬ情けの油を注して、要なき屍に長夜の踊をおどらしむる滑稽である。遐(はるか)なる心を持てるものは、遐なる国をこそ慕え。」(『虞美人草』1907)
 漱石をおらが偉人と崇める愛国主義者どもはたぶん漱石を読んでいない、あるいは読んでも理解できていないらしい。

森鷗外「鶏」

 鷗外のこのような類の「苦みばしった」ユーモアは日本の文学では異色のものではないかと思う。

島国根性

Le Clezio -- who's he?
 自分の無知を正直に告白する姿はほほえましい。しかしそれが大新聞の編集委員の台詞だとすると、それは滑稽なものでしかない。

PICASSO...PICASSO...

 この展覧会は掛け値なしにすばらしいはずだ。
 From across the centuries, a different view of Picasso

2008年10月11日土曜日

爆発流星


Bright Bolide
Credit & Copyright: Howard Edin (Oklahoma City Astronomy Club)
 こんな光景がいきなり視界に飛び込んできたら驚くだろうなあ。
 しかし、どうせいつか終わりが来るのなら、こういう激しい消え方がいいな、僕は。

The Global Competitiveness Report 2008-2009

 最新版が発表された。The Global Competitiveness Report 2008-2009
 日本は昨年度より1ランク下がって9位になった。一昨年度は5位だったから、「世界第2位の経済大国」にも翳りが見え始めていることが裏付けられた形となっている。
 「World Economic Forum? そんなもの!」と軽蔑される方も多いだろうし、それはそれで理解もできるのではあるが、興味深い発見もないわけではないので、ここではその一つを紹介したい。
 日本におけるビジネス阻害要因の上位6位までを挙げると、
1.Inefficient government bureaucracy
2.Tax regulations
3.Tax rates
4.Policy
5.Restrictive labor regulations
6.Government instability/coups
となっている。
 「経済一流政治三流」という悪口を言われ続けて久しい国であるが、日本の政治の無能はもはや世界の常識なのだから言葉にする必要もなく、むしろ「経済一流政府三流」としたほうが意味があるのではないかと思う。

2008年10月10日金曜日

Jualian Barnes

彼の作品に総じて言えることだが、お子ちゃまはご遠慮ください。
 60/40

「血を分けた子ども」信仰

 それだけではない。「国家の威信」「偏見」「宗教」「経済」「戦争」等々、様々な問題が複雑に絡み合う。この記者には前から注目しているが、鋭い切り込み方ができる人なのだから、さらに深い分析の段階にまで踏み込んでほしい。
 Korea Aims to End Stigma of Adoption and Stop ‘Exporting’ Babies

Elizabeth Peyton

なかなかよさそうだ。いつかちゃんと観てみたい。
The Personal and the Painterly

Slavoj Žižek

Don’t Just Do Something, Talk
 Žižekにしてはあまりにもありきたりのことしか言っていないので少しがっかりした。それにしても”dialectical-materialist philosopher and psychoanalyst”という肩書きは笑える。本人公認なんだろう。彼らしい。

2008年10月9日木曜日

LETTERS FROM KOBE

 Life keeps right on moving 
 廃墟と化した日本を見たElizabeth Ryanは日本は今後50年は立ち直れないだろうと予想した。しかし、敗戦後23年で日本は資本主義国の中でGNP第2位の経済大国となった。今後中国などに抜かれるだろうが、しかしこれで40年間まだ2位を保っている。
 書簡に描写されている、廃墟と化した東京で、横浜で、神戸で、黙々と働き続ける人々。この人たちが戦後日本を作り上げたのだ。

2008年10月8日水曜日

新学期

 1年経過していろいろな点で慣れてきた(私が、ではない、学生諸君を含めたブルガリアに住む人たちが僕に、である、念のため)のだろう、落ち着いたスタートである。
 何をしても言っても周りから驚かれたり呆れられたりばかりしていると、だんだん自分を変な、変わった人間であるかのように自分で思い込む錯誤に陥るから、これはこれで結構なことである。

きょうのLiaison

ブラジルから今年もやってきました。

2008年10月7日火曜日

パズル

Islamist movement banned in Bulgaria
 急速に進むグローバリゼーション下、宗教・民族間対立/差別と社会の安定の間のバランスをいかにして取っていくか。ブルガリアの本当の試練は実はまだ「始まりの始まり」の段階でさえない。

Romanticismの終焉、ここにも。

トリが恋歌を歌っている時、脳は幸せを感じる
 はいはい、私たちは脳内プログラム、さらに言えば遺伝子の指示によって、愛を語り合っているんですね。

男女格差

女性研究者採用したら6百万円 文科省、増員狙い補助へ
 私の乏しい経験では国立大学で一人の研究者を30年間雇用するコストは諸コストを含めれば優に3億円を超える。「1800万円の補助」というのは5%程度の割引でしかない。どういう風に考えればそれっぽっち(しかしそれは納税者が負担するのだ)で事態の根本的な解決に繫がるという論理になるのか知りたい。

2008年10月6日月曜日

夏目漱石「琴のそら音」

 漱石はこんなものも書くのか。取り立てて言うほどのこともない凡作。

negational identity

Metaphors of the Mind: Why Loneliness Feels Cold and Sins Feel Dirty
 表題になっているトピックよりも僕がより面白いと思ったのは、人は自分が「誰であるか」よりも「誰でないか」というアイデンティティ規定の仕方によって現実世界における諸決定をする、という箇所だった。このnegational identityというのは、僕の常套句「あんなのと一緒にしないでよ。」をうまく説明する。

勝者と敗者

Occupiers favored with postwar plenty
 権力/特権を持つ者には持たざる者の苦しみは分からない。

西田幾多郎「アブセンス・オブ・マインド」

 天才はやはりうっかりも尋常ではない。

森鷗外「栗山大膳」

 こういうものは鷗外にしか書けない。

三木清(1932)「ゲーテに於ける自然と歴史」

 「然しゲーテのモナドには窓がないのでなく、その窓は広く世界に向つて開いてゐる。」
 モナドの窓。。。

きょうのLiaison

『おいしいコーヒーの真実』の裏側

Earth at Night


Credit: C. Mayhew & R. Simmon (NASA/GSFC), NOAA/NGDC, DMSP Digital Archive
 あらためて「格差」を思う。人は明るさを求める。この明暗の差を埋めていくことができるか否か。

2008年10月5日日曜日

芥川龍之介「孔雀」

 龍之介はここでも苛立っている。

In Praise of Melancholy

American culture's overemphasis on happiness misses an essential part of a full life
 名文。しかし人々がみんなJohn Keatsになれるわけではない。弱い私ははどうすればよいのか、という命題が残る。(指摘があり調べたが、残念ながらこれももう入れなくなっている。テクストをご希望の方は添付ファイルでお送りするのでkomadasatoshi@gmail.comまでご連絡ください。)

Fraternization — and consequences

Young, reckless, open-eyed GIs broke social taboos, found war brides, racist laws, VD
 悲劇なのか、喜劇なのか。これが60年前の日本の姿である。

芥川龍之介「好色」

 龍之介にとって女性という存在は永遠の「他者」であった。それはこの古典の翻案からも読み取れる。

脳と感覚

 The Itch:Its mysterious power may be a clue to a new theory about brains and bodies.
 押さえるべき所を押さえつつ書いている。とても勉強になった。

A Solar Prominence Unfurls


Credit: STEREO Project, NASA
 この程度で驚いていてはいけない。いまの私の頭の中を見せたい(笑)。

2008年10月4日土曜日

Junot Díaz

The Brief Wondrous Life of Oscar Wao
 この作品はすばらしい。Junot Díazを見直した。スペイン語が分かる者にはこの作品をさらに深く味わえるだろう。

Mixed-race babies in lurch

Fact of Occupation life: Abandoned kids from GI-Japanese liaisons
 軍が支配する地域に普遍的な問題であるが、この何万人なのか概数さえ分からない明確ではないこの日本のケースをきちんと追跡調査している人はいるのだろうか。

ロマ

 簡潔によく書かれている。
 Exploring Bulgaria’s Minority Population: The Gypsies
(N.B.指摘があり再度リンクを試みたが繫がらない。ご希望の方は、ダウンロードしてあったWordファイルを添付でお送りするのでkomadasatoshi@gmail.comまでお知らせください。)

きょうのLiaison

フェルデンクライスメソッド

2008年10月3日金曜日

日本は民主主義国家である、と誰が言っているのか。

 麻生内閣(発足時(笑))閣僚18名中、なんと4名が元首相の子どもか孫であり、10名は元国会議員の子どもである。まるで商店街の二代目クラブみたいなものだ。
 これで世界第2位(いまのところ、だが)の経済大国がやっていけているのだから、日本というのは本当に不思議な国である。

EUと移民問題

A rising tide of migrants unsettles Athens
 スペイン・イタリア・ギリシャ。EUの地中海沿岸諸国が苦闘している。折りしもEUは/も景気後退が顕在化したところだ。移民の多くを占める紛争地域からの人々に対する人権政策と経済・治安問題。このディレンマをどのように軟着陸させるか。ここでもEUの力量が試されている。

芥川龍之介「虎の話」

 いい話である。これは評価の分かれるところだと思うが、僕はとてもいい作品だと思う。

「○○様は我が村の偉人である」

Macedonia dispute has an Asian flavor
 念のため、言わずもがなのことをここで改めて断っておきますが、例えばここでマケドニアとギリシャの論争をリンクするからといって特に彼らを軽蔑的に見ているというわけではありません。私は、自民族中心主義、ナショナリズム、国粋主義、さらにはナルシシズムや偏狭性といったようなさまざまな普遍的な概念を考えていただくための材料を目に付いたところからアットランダムにアップしているに過ぎません。現在の私の諸条件から、結果として、日本・英語圏特にアメリカ合州国・バルカン・ヨーロッパなどに偏って出てくることにならざるを得ないだけのことで、もし私が将来他の言語や地域に移動するようなことがあれば、そこにも間違いなく存在するはずの同様の事例を挙げることになります。
 普遍的問題を考察する材料としていただくための個別事例を挙げているに過ぎないにしては私のことばが少し過激であることは認めますが。はい。

アメリカ文学とノーベル賞

Nobel judge attacks 'ignorant' US literature
No Nobel prizes for American writers: they're too parochial
 アメリカ合州国を大きな島国と形容したのは柄谷行人だったが、その偏狭性はあの国の特徴の一つであるだろう。偏狭性はどこにでも遍在するものだが、アメリカの場合世界における影響力が異常に大きくなってしまっただけにそれが際立ってしまう。
 そもそもその時その時の「ごほうび」と歴史の評価は原理的にまったく別物であるのだが、それでも世間は大騒ぎしてしまう。

きょうのLiaison

秋 修一・わたなべ克也  写真展 本日始まります。

2008年10月2日木曜日

芥川龍之介「湖南の扇」

 これも不思議な一編である。自らの掌中に珠を転がすように話を扱える場合でないと龍之介の魅力は半減する。

HIV拡大の起源

Colonial clue to the rise of HIV
 人口が集中したある特定の都市においてHIV感染が勢いを得たというこの新説は、Jared DiamondがGuns, Germs and Steelで行っている一般的なウィルス拡大に関する説明とも一致する。

Homophobia...

80% of Bulgarians Have Homophobic Sentiments - Report
 以前紹介したイギリスの世論調査との違いは歴然としている。たった一年だが僕の経験則ともほぼ一致する。また人種差別(特にロマの人々とトルコ系の人々に対する)もセクシュアリティ差別も、世代が若くなるほど少なくなってゆくような印象も受ける。教育(嫌いな言葉だが「啓蒙」と言ったほうがいいのかもしれない)は重要である。

2008年10月1日水曜日

不安定性

 This Economy Does Not Compute
 さしたる明確な原因もなく突如として不安定性が顕現するのは実はマーケットだけではない。人(々)の心理が関与するあらゆる構造的現象において見られることである。政治を政治家だけに任せてはいけないのと同様に、マーケットのメカニズムの解明を経済学だけに任せておいていいはずがない。

 日本では別れと出会いの季節は春だ。ヨーロッパではそれは秋だ。
 学生たちも卒業・留学で旅立つ者もいれば、帰国してくる者・入学してくる者もいる。さまざまに人々が交錯する。
 そして、僕の最も近い仲間の一人も、あと数時間で日本への研究留学に旅立つ。

ボリショイ

 ガラ公演を見た。NDK大ホールは初めてある。内部は外観の胡散臭さと違い意外にこぎれいにしてあった。
 いろいろな点で興味深かった。まず公演開始・休憩後の再開ともに15分遅れ。これはもう驚かない。驚いたのはボリショイのスターのガラだというのに、音楽がオケではなくテープだった。それも音響設備が悪いのか録音が悪いのか、ノイズだらけ。さらに一度はかける音楽を間違えて舞台袖から出かけた踊り手がもう一度引っ込むご愛嬌も。照明も時代遅れ。まるで小学校の学芸会である。バレエをサーカスと勘違いしている観客が結構いたのも面白かった。
 そんな悪条件の中、現在世界を代表するダンサーたちが古典からモダン・実験的演出まで身体芸術の粋を見せた。名前は失念したが、2、3名のバレエは本当にすごかった。上記の周辺的な数々の失点を考慮に入れても90Levaを返せとは言わせない水準だった。