2009年1月2日金曜日

森鷗外「高瀬舟」

「庄兵衞の心の中には、いろ/\に考へて見た末に、自分より上のものの判斷に任す外ないと云ふ念、オオトリテエに從ふ外ないと云ふ念が生じた。庄兵衞はお奉行樣の判斷を、其儘自分の判斷にしようと思つたのである。さうは思つても、庄兵衞はまだどこやらに腑に落ちぬものが殘つてゐるので、なんだかお奉行樣に聞いて見たくてならなかつた。
 次第に更けて行く朧夜に、沈默の人二人を載せた高瀬舟は、黒い水の面をすべつて行つた。

 本質的懐疑。私は「高瀬舟」がこれによって日本の近代を決定づけ、不朽の作品となったのだと思う。

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