2009年2月11日水曜日

カンケン

漢字検定協会―まさか「私益法人」では
 やっと朝日新聞が取り上げた。「漢字は日本文化の誇りである」というようなおめでたいことを社説で日頃言っている新聞はおそらくだんまりを決め込むつもりだろう。
 この問題の根底に文部科学省との癒着があると疑うことは難しくない。上のナショナリズムとも無縁ではなかろう。少し世間が見える者は最初からこのような世界には近づいてこなかったからいいようなものの、問題は何も知らずせっせと漢字を丸暗記し、対策本・講座に大金を払い、検定料を納め、受かった落ちたと一喜一憂してきた人々である。
 私の領域でいえば、特にノンネイティヴの日本語学習者――ひどいケースでは教師たちも――の多くは「日本語」を勉強することがすなわち勉強だ、或いは資格を取ることは(単なる方便だ、でなく)能力の証だ、という信仰を持っているナイーヴな人たちである。そういう人たちは最後までそういう人生を送っていくのだからそれはそれでいいのだ、という論理もあり得る。しかし弱者を騙して私腹を肥やす者を放置するということは社会的正義として看過できない問題であるはずだ。
 朝日のこの社説は「漢字は日本文化の大切な土台だ。協会は身ぎれいになって出直す時だ。」と結んでいる。朝日でさえこれである。コメントの価値もない。絶望的だ。

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