2009年7月29日水曜日

怠惰

「どの程度まで人間が怠惰なのかは考えもつかないことである。人間が生きているのは、ただ眠り、無為に生き、じっとしたままでいるためであるかのようだ。というのは人間は、餓死を避けようとして必要な運動をするために、かろうじて決心をつけられるからである。未開人たちが彼らの境遇を好み続けているのは、何よりもこの心地よい無為のためである。人間を不安にし、用心深くし、活動的にする情念は、社会の中ではじめて生れる。なにもしないということは、自己保存の情念についで、人間の最初の、しかももっとも強い情念である。よく眺めていれば、われわれの間にあってさえも、おのおのが働くのは休息にたどりつくためであり、さらにわれわれを勤勉にしているのは、怠惰なのであるということがわかるであろう。」(ルソー『言語起源論―旋律および音楽的模倣を論ず』)

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