2009年9月26日土曜日

仲間

 ユーラシア大陸を西に向かって横断するトルコ航空便。
 たまたま隣席に座った白人男性が一心不乱に岩波文庫の般若心経に読み耽っている。そこで日本語で話しかけてみる。ところがなんと日本語は話せないとドイツ語で答えてくる。びっくりした私は、英語に切り替え、でもお前は(一瞬で同類と見て取ると実際突然こんな口調に変わる。それは相手も同じこと)、いま岩波文庫の般若心経を読んでいたではないかと言う。すると彼も英語に切り替えてくれて、実は俺はミュンヘンの大学でサンスクリットを教えているのだが、今は京都で開かれていたサンスクリット学会の帰りで、京都の本屋で買った般若心経(或いは併載されているもう一つの経典だったかもしれないが)を、漢字はまったく読めないのだが、巻末のサンスクリット原典を頼りに「味わっている」のだ、と言う。おお、ここにも仲間がいた。
 12時間の長旅は充実した対話の時間となり、名刺を交換し、再会を約してイスタンブール空港で別れる。
 私は生きている、動いている、と感じることのできるのはこういう時である。
 

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