2021年9月30日木曜日

映画「Disobedience」(2017)

宗教・同性愛・親子・夫婦を深く掘り下げる鋭さを持った作品。キャスティングも見事。

映画「Heaven Can Wait」(1943)

蓋しErnst Lubitschは天才であった。

2021年9月29日水曜日

映画「The Mustang」(2019)

在り来たりの話だが、服役者たちと野生馬たちとの心の通い合いという興味深い設定と、ローマン役のマティアス・スーナールツの名演のおかげで感動的な作品となった。なお、Wikipediaのあらすじには「マイルズはマーキスの調教が上手く行かなかったと判断し、彼を安楽死させることにした。」とあるが、実際にはマイルズは、すぐにやってくる獣医によってマーキスは安楽死させられるだろうということとフェンスに壊れた個所があるがそれが絆創膏みたいな簡単なもので修理してあるということを言い、暗にローマンに対してマーキスを逃がしてやれと言っている。

2021年9月28日火曜日

映画「Dronningen」(2019)

人はどこまで悪なのか。どこまで病んでいるのか。ここまで切り込めるのなら、更に深く掘り下げてほしかった。トリーヌ・ディルホムの名演に助けられた80点。哲学になりそこねた80点。

2021年9月27日月曜日

映画「Blood Diamond」(2006)

キャスティングの成功。極めて根の深い問題の、その上っ面だけをかすっただけの話に終わったのが残念。

2021年9月23日木曜日

映画「Der Fall Collini/The Collini Case」(2019)

ドラマ的な要素に物足りなさは感じるが、この徹底的な姿勢はやはりこれもさすがドイツだと思う。

映画「Boxing Gym」(1990)

陳腐な言い方で申し訳ない。そこら辺の映画より100倍面白い。91分が短すぎる。突然終わった時もっと観たかったと思わせる。それは言うまでもなくドキュメンタリーだからではない。ワイズマンだからだ。いつもながら偉大な映画人である。

2021年9月22日水曜日

映画「Palm Springs」(2020)

傑作。何度も書いているように私は基本的にラブコメは苦手であるがこれは少数の例外の一つ。まずAndy Siaraの脚本が秀逸。続いてMax Barbakowの演出が魅力的。最後にCristin MiliotiとAndy Sambergの主演二人の演技がすばらしい。「funny」という言葉を映画にしたらこういうのになる。

映画「Los abrazos rotos/BROKEN EMBRACES」(2009)

アルモドバルにしてはロマンティシズムに終始し過ぎたきらいがあり余り好みではないが、優れた脚本と名優たちの名演はいつもながら超一流。

2021年9月21日火曜日

映画「Peterloo」(2018)

極めて生真面目にまっとうに不正を糾弾しようという姿勢は買うが、ドラマとして観る者に訴えかけようとする意志がほとんど感じられないのは残念。イギリスには時折こういう映画がある。

映画「The Death of Stalin」(2017)

その見事なブラック・ユーモアは賞賛に値する。しかし、上手に茶化せば茶化すほど、全体主義や権力そのものに対する批判的分析から遠ざかってしまうのも事実である。

映画「Nikita」(1990)

これもある意味でベッソンらしく、綻びだらけの演出だが、アンヌ・パリローの熱演が最後まで見せる。

映画「Le Cinquième élément/The Fifth Element」(1997)

ベッソンには真面目なのか不真面目なのかよく分からない作品があるが、「無垢な少女」をうまく使った作品にはよいものもある。これもその一つ。

2021年9月20日月曜日

映画「The Negotiator」(1998)

見事な脚本・演出とキャストのおかげで最後の最後まで楽しめる。ごく少数だがこの作品のように、お決まりのハッピーエンドであることが逆に観る者に喜びを与える場合もあるのだ。

映画「Internal Affairs」(1990)

警察の内部調査と家庭内の問題というのを掛けているようなタイトルで、その絡み合い方がまずい。米国での評価がかなり高いことが不可解だ。都合が悪くなると同僚だろうが誰だろうが平気で次々と殺人を犯す悪徳警官のその動機が子どもが既に9人いてもうすぐ10人目が生まれるので金が要るというのだから呆れてものも言えない。ワルを描くのならきちんと描かなければ下手をすると喜劇になってしまう。

映画「 Breaking Surface」(2020)

巧みに作られたサスペンスに家族の問題をうまく絡ませたJoachim Hedénの力量は注目に値する。

2021年9月17日金曜日

映画「The Man Who Stole Banksy」(2018)

たった一つの或る作品によって、(このドキュメンタリーも含め)無数の人びとを挑発し大騒ぎさせ続けること。バンクシーはここでも成功している。

2021年9月16日木曜日

映画「The Usual Suspects」(1995)

見事としか言いようのない脚本とケヴィン・スペイシーの名演を堪能できる佳品。

映画「À bout de souffle」(1960)

何度見ても新鮮に見えるのは、この作品の普遍性、それにのちの映画がいかにこの作品の影響を受けてきたかを物語る。

2021年9月15日水曜日

映画「Body Heat」(1981)

この作品でデビューしたKathleen Turnerのファム・ファタールが時代を超えて見事。
2021.11.18.二度目の観賞。脚本も演出もカメラも見事だと改めて思う。John Barryの音楽もさすが。この作品を想起する時は必ず彼のメロディが頭の中を流れる。

2021年9月14日火曜日

映画「Interstellar」(2014)

知的好奇心を十分に刺激するノーラン一流の作り方に感心する。人間ドラマとしても面白かった。また見たくなる。

映画「Primal Fear」(1996)

何と言ってもエドワード・ノートンの名演に尽きる。また今作品では脇役のフランシス・マクドーマンドの存在感にも感銘を受ける。彼女はこの年「Fargo」でも主演を務めているのだ。

映画「Frances Ha」(2012)

Greta Gerwigの名演が楽しめるビルドゥングスロマン。「完全」を目指す成長物語ではなく、「不完全」を認めることから始まる人生の成長物語。
2021.10.28.
2度目の観賞。他の作品も併せて観てみれば、演技にも脚本にも演出にも才能が迸ることがわかる。まだ38歳。Greta Gerwigの時代が来てほしいものである。

2021年9月13日月曜日

映画「Der Untergang/Downfall」(2004)

よくぞここまで描き切った。やはりドイツは大したものである。

映画「Skin(短編)」(2018)

同年発表の長編同様印象に残る作品だが、こちらも掘り下げ方に不満が残る。

2021年9月11日土曜日

映画「United 93」(2006)

冷静かつまじめな再現映画の感がある。Extremely Loud & Incredibly Closeへの低評価とは対照的なこの作品への高評価はアメリカにとってこの事件がドラマ化を許さない、聖書のような聖化された物語のようになってきているのかもしれないという印象さえ受ける。

映画「Jungleland」(2020)

よくある話なのに最後まで見せてくれる。大したものである。
2021.12.16.二度目の観賞。家族に恵まれなかった三人の若者、StanleyとLionの兄弟とSkyが過酷な現実に立ち向かうロードムービー。そしてこののち刑期を終えたLionとSkyと子どもにStanleyを加えたクリーニング店の新しい家族が形成されることを予感させてこの佳作は終わる。Skyの存在は余計な要素で、兄弟二人だけの関係性に焦点を絞った方がよかったという批評をどこかで読んだが、それは違うように思う。Skyが介入したからこそ兄弟二人だけの閉じた世界が新たな展開を見せ新しい家族を形成する契機となるのだから。

2021年9月10日金曜日

映画「気球/Balloon」(2019)

脚本・演出・映像・キャスト、すべてがすばらしい。もう一度見たい。

映画「Dressed to Kill」(1980)

発表当時は大いなる賞賛を浴びたであろう名作。しかしデ・パルマのこの作品は不滅の「サイコ」には及ばなかった。映画は難しい。

2021年9月9日木曜日

映画「Stuntwomen: The Untold Hollywood Story」(2020)

光の当たることの少ない面を取り上げた史的価値はある。しかしこれはテレビ番組でもやれる。芸術ではない。

映画「Hable con ella/Talk to Her」(2002)

これほど荒唐無稽で、これほど美しく、これほど深さを持った作品に出合うことは滅多にない。アルモドバルの天才躍如。

映画「Black Swan」(2010)

話は陳腐だが、俳優陣が見事だった。特に、ここでもナタリー・ポートマンが大女優であることが証明されている。

2021年9月7日火曜日

映画「Wind River」(2017)

狩る者は誰か?狩られる者は誰なのか?未来を感じさせる結末に救われたような気分になる。

映画「IN JACKSON HEIGHTS」(2015)

189分を長く感じない。ドキュメンタリーの名匠フレデリック・ワイズマンの実力はここでも大いに発揮されている。

映画「Soul Kitchen」(2009)

今や名監督となったファティ・アキン。重層的文化の賜物と言ってよいような魅力に満ちた作品。

映画「Babyteeth」(2019)

脚本・演出・カメラ・キャストが見事。一見ありきたなりの話に新たな輝きが与えられている。監督Shannon Murphyの将来が楽しみである。
2021.10.18.二度目の観賞。やはり何と言ってもToby Wallaceの名演が際立つ。Eliza Scanlenもすばらしい。特に若者に観てもらいたい作品だ。

2021年9月6日月曜日

映画「Nabarvené ptáče/The Painted Bird」(2019)

近現代史と人間存在を抉る野心作。完成度はともかく繰り返し観たい作品。

2021年9月5日日曜日

映画「Moneyball」(2011)

特に野球ファンにはこたえられない作品。野球にとどまらぬ彼我の文化の異同という点でも興味深い。

2021年9月3日金曜日

映画「Mudbound」(2017)

アメリカ史の一断面がよく描かれている。希望らしきものを感じさせる結末部に好感が持てる。

映画「Volver」(2006)

ペドロ・アルモドバルの傑作がまた一つ。すべての女優たちにも喝采を贈る。

映画「Goodfellas」(1990)

「Godfather」には遠く及ばないものの、ギャング映画史に残る傑作であることは間違いない。名優たちの火花散る競演が見もの。

2021年9月2日木曜日

北大路魯山人「陶器個展に観る各作家の味」

Agora日本語読解辞典』において、北大路魯山人陶器個展に観る各作家の味冒頭部解析完了。

映画「Yesterday」(2019)

センチメンタル。しかし最高なセンチメンタリティ。そうだ。我々は彼らを忘れかけていたのかもしれない。もう一度すべての曲を聴かなければならない。

2021年9月1日水曜日

映画「Coco avant Chanel」(2009)

切り込み方の浅さは致命的だが、オドレイ・トトゥの魅力がかなりの部分を救っている。

映画「Dolor y gloria/Pain and Glory」(2019)

傑作。Pedro Almodóvarがスペインの、そしてヨーロッパの底力を見せてくれた。
2021.12.20.二度目の観賞。映像の美しさ、特に色彩の芸術性。名優たちを自在に輝かせる演出。ラストシーンで観る者をあっと言わせる技量。Pedro Almodóvarの玉手箱からはこれからも続々と宝物が出てくることだろう。
2022.02.06.三度目の観賞。母と子。性の目覚め。ノスタルジア。「赤」の美。センチメンタルな歌声。彼の作品のどれにも当てはまることだが、彼は映画とは文学と絵画と音楽が織り交ぜられた総合芸術なのだということをいつも観る者に思い出させてくれる。