パート3の再編集版。三百数十か所の変更があったというが、特にこれといった大きな変更が見出せないにもかかわらず、はるかに完成度が上がったような印象を受けるのは芸術というものの不思議さだろう。シチリア人にもアメリカ人にもマフィアにもゴッドファーザーにも夫にも父にもなれなかったマイケルの最後。パート3はそのマイケルの死のシーンで終わるが今回の最終版ではそのシーンはない。ただ一人孤独に庭に座り込んでいるマイケルの姿を見せてこの映画は終わる。ついに父ヴィトーのようにはなれなかったマイケル。そのマイケルの死で終わるのではなく、それでも時は流れてゆくという、生と死を超えた永遠を示唆して終わるエンディング。わたしはここにこの最終版の最大の美点を見る。