2019年5月10日金曜日

古巣

職員野球部の練習のために12年ぶりに前任大学に行った。みなが言うほどキャンパス自体は変わったとは思えないが、なんといっても違うのはこちらの心持である。かつて自分の家のように愛したこの大学の中に、いまは半分よそ者として立っているという感覚。これはなかなか得難い経験である。白髪のじじいを場違いの者として眺めながらすれ違う学生たちはともかく、教員も職員も野球部員も半分あるいはそれ以上は私を知らない人々だ。誰かとすれ違うたびにこの人が旧知の人なのか否かを確かめながら歩くのに少し疲れた。知っている人なら無視することになってしまうからだ。
しかし、まったく変わらないものがある。それはこの大学のもつ独特の温かさである。人も木々(新緑の季節でもあり、また12年の歳月でみんな成長している)も人の心を穏かにするような風土を持っている。これはこの大学のもつ最大の長所であり、私がこの大学を愛する最大の理由である。それが変わらずにいてくれたことがうれしかった。
こいつ誰だという視線や生協食堂で毎回組合員証の提示を求められる(大学生協には再加入した)新鮮な経験を繰り返しながら、これからしばらくこの古巣に通うことになる。

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