2021年12月28日火曜日

映画「Il traditore/The Traitor」(2019)

巨匠Marco Bellocchio80歳。まさに円熟の冴え。
2022.1.25.二度目の観賞。欲を言えばもっとBuscettaの心理を深掘り出来たのではないかと思う。実際の彼がそれに値する人物でなかったのかもしれないが。いずれにせよイタリア及びシチリアの犯罪社会についていろいろと勉強になった。

映画「Manhunter」(1986)

プロファイルする者とされる者、そしてそれを見守る者。その内的世界は相互に投影し合い、重なり合う。Michael Mannの名人芸は半世紀近くたっても古びることを知らない。

2021年12月27日月曜日

映画「È stata la mano di Dio」(2021)

哀しくも美しいビルドゥングス・ロマン。こういうのを撮らせたらイタリア人の右に出る者はいない。

映画「Crisis」(2021)

社会問題提起の熱意と全体としての出来の粗さとの葛藤。もう一度観たいかと問われれば迷うだろう。

2021年12月26日日曜日

2021年12月25日土曜日

映画「The Last King of Scotland」(2006)

人懐っこい笑顔の裏に隠れた冷酷な独裁者を演ずるForest Whitakerと新植民地主義に侵されたナイーブな白人青年を演ずるJames McAvoyとの見事な化学反応がこのありきたりの映画を観る価値のあるものにしている。

2021年12月24日金曜日

映画「Silverado」(1985)

古き良き時代の西部劇へのノスタルジア。一度見ただけでは興味深い点を今一つ見つけられなかった。

映画「Hairspray」(2007)

徹頭徹尾楽しみ満載のミュージカル。筆頭はNikki Blonskyのはまり役。その後鳴かず飛ばずなのが残念。全体的な話は単純なのだが、歌と踊りが魅力的。踊り出さずにはいられない。これは世代的なものも影響しているかもしれないが。

2021年12月23日木曜日

映画「The Hustler」(1961)

勝利とは何か。愛とは何か。生きる意味とは何か。人は何ゆえに生きるのか。永遠に滅びることのない名作。

2021年12月22日水曜日

映画「Perfetti sconosciuti」(2016)

優れた脚本と優れた役者たち。何度も大声で笑ったが、それはかなり暗い笑いでもあった。これは優れたブラック・コメディと呼んでいい。元気溌剌の状態にある時に観ることが推奨される。

映画「Duck Soup」(1933)

当時としてはかなり過激・前衛的な作品であっただろう。しかし、Marx brothersにとって最大の不幸はほとんど同時代にChaplinがいたことだ。後者の高い普遍性を前にすると今や彼らは残念ながらサーカスのピエロのように見えてしまう。

映画「Il capitale umano」(2013)

よく練られた脚本と演出。よいキャスティング。所詮ヒトも資本である。人的資本。強烈な現代社会批判。

2021年12月20日月曜日

映画「Red Eye」(2005)

大作でもないし、深みもない。しかし巧みな演出とキャストの名演のおかげで最後まで楽しめる85分となった。再度見ようとは思わないが見て損をしたということはない一作。

2021年12月19日日曜日

映画「Us」(2019)

一度観たぐらいではその真の力は分らないのではないか。何度も繰り返し観ることによりそのたびに新しい発見があるであろうことを確信をもって予期させる名作。監督デビュー作「Get Out」に続きJordan Peeleはここでも並外れた才能を証明している。これからが本当に楽しみである。

2021年12月18日土曜日

映画「Destroyer」(2018)

Karyn Kusamaの演出は決して親切なものではない。観る者に頭を使わせる進行の仕方をする。しかし私はこういうやり方が嫌いではない。しかし何と言ってもこの作品はNicole Kidmanのもの。より正確にいえば「この作品も」。この人は一体どこまで行くんだろう。

2021年12月16日木曜日

映画「7 Prisioneiros」(2021)

これはひとりブラジルのみの社会問題ではない。発展途上国のみの問題でもない。どの社会にも存在する権力関係の問題である。誰が支配され、誰が支配されているのか。誰が搾取し、誰が搾取されているのか。ただ一つはっきりしているのは、最底辺に追いやられている者にはもうその下はないという事実だ。

2021年12月15日水曜日

映画「Rebecca」(1940)

Hitchcockの名作サスペンス。優れた筋立てとJoan Fontaineの名演(その臆病そうなおどおどした演技は多分にHitchcockの意図的な操作によるものだったというが)が印象深い。

映画「まあだだよ」(1993)

結果的には黒澤の遺作となった作品。83歳でこのレヴェルの作品を創れると驚嘆すべきなのか。ああ、やはり83歳だな、と感じるべきなのか。Rotten Tomatoesの批評家評は87点だから世界的には評価が高いのだろう(やはり黒澤は敬愛されている)が、私の場合は後者である。カメラ(宮川一夫は引退している)も脚本(明らかに弟子たちに愛された内田百閒と自分を重ね合わせたいという欲を感じる)もキャスト(名演は井川比佐志と香川京子ぐらい)も「七人の侍」に遠く及ばない。換言すれば黒澤はそれほどの高い完成度を常に求められる芸術家だったとも言える。

映画「Le jeune Ahmed/Young Ahmed」(2019)

宗教。思春期。Dardenne兄弟の鋭い視線はドキュメンタリー風のカメラを駆使して追い詰められてゆく少年の内面を追う。ただ、最後の「ママ…」は理解できるとしてもInèsへの謝罪は唐突過ぎる。

2021年12月14日火曜日

映画「Slumdog Millionaire」(2008)

テレビのクイズ番組を道具立てに現代インドが抱える様々な社会問題を取り上げる。ただし、取り上げるだけである。抉ることはしない。そして作品を貫くのは目くるめく映像と音楽に彩られた愛の物語。何度観てもとても楽しめる作品なのだが、私のような人間にはやはり物足りなさが残るのである。

2021年12月13日月曜日

映画「The Bucket List」(2007)

プロの批評家たちからの酷評と一般からの支持との間にこれほどの落差がある作品も珍しいだろう。しかし、いかに大げさだろうとわざとらしかろうとお涙頂戴的であろうと、ここは二人の名優の味のある演技を全編にわたってずっと見ていられる幸福を満喫しようではないか。

映画「影武者」(1980)

光と影。光が存在するからこそ影は存在する。光が消えれば影は生き延びることを許されない。影は盗人(ただし戦国大名である信玄も国盗りの盗人である)だけではない。信玄の光の下に存在していた勝頼や重臣たちも含めた影としての武田家そのものも消えることが不可避であった。

映画「Ready or Not」(2019)

ホラーやスプラッターは苦手である。しかし、これは見事だった。醜いのに美しい。かっこ悪いのにかっこいい。すべてが矛盾に満ちた屋敷の中でひとり主人公のみがまっすぐを貫き通す。それを演じるSamara Weavingがはまり役。すべてをスマートにまとめ上げたMatt Bettinelli-Olpin。ただものではない。

2021年12月11日土曜日

映画「The Father」(2020)

Anthony Hopkins。83歳。名優による名演中の名演。また深い理解と巧みな演出によりFlorian Zellerは映画監督としても類稀なる才能を有することを証明した。
誰にとっても人ごとではない認知症の世界。そこには生きるということの奥底に潜む哀しみがある。

ジョージ・オーウェル作(1931)、The Creative CAT訳(2018)「絞首刑」

Agora日本語読解辞典』において、ジョージ・オーウェル作(1931)、The Creative CAT訳(2018)「絞首刑」冒頭部解析完了。

2021年12月10日金曜日

映画「Ulzana's Raid」(1972)

一見、先住民への救いがたい偏見を利用した娯楽活劇と見せて、実は、「他者へのまなざし」を問いかける深みをもった作品である。さすが名匠Robert Aldrich。これだけでも十分名作の名に値するが、もしマッキントッシュ、ガーネット・デ・ビュイン少尉、ケ・ニ・テイの三者の対話がもう少し掘り下げられていたとしたら、永遠の名作になっただろうにと残念に思う。

映画「The Power of the Dog」(2021)

映像の見事さ。登場人物一人一人の内的世界を描く演出の巧みさ。それにどの役者たちも十二分にその力を発揮している点。これ以上手を入れる必要のない程の完璧な作品。Jane Campionは間違いなく映画史に残る名監督の仲間入りをした。

映画「I Am Sam」(2001)

話はありがちなヒューマンドラマ。しかしSean PennとDakota Fanningの名演は大いに見応えがある。役者というものはすごいものだ。

映画「Gundermann」(2018)

ドイツ人の魂を揺さぶる作品だということはよく分かる。東ドイツ人の誰にとっても決して人ごとではない人生がここにあった。Alexander scheerの名演も忘れてはいけない。
2022.05.12.二度目の観賞。ことは東ドイツに限った個別的なものではない。イデオロギー。全体と個。社会と個人。家族。愛。友情。そして復活。誰にとっても身近でかつ普遍的な問題がここにある。

2021年12月7日火曜日

映画「The Last Black Man in San Francisco」(2019)

「ホーム」とは何か。建物か。家族か。祖先か。出身地か。友人か。Joe Talbot監督の将来を楽しみにしたい。

映画「Vivarium」(2019)

「幸福」「家族」「家庭」・・・。様々な通念を批判的に捉えようとする意図は明確だが、そこからの脱出の糸口が一切仄めかされてさえいないという点は評価の分かれるところだろう。全く救いようがない、というのはかなりきついことなのだ。Imogen PootsとJesseEisenbergの演技は評価されてよい。

2021年12月6日月曜日

映画「The Farewell」(2019)

東西の文化の葛藤だけでなく、それを超える普遍性を志向した佳作。Awkwafinaの名演に拍手。

映画「Dveselu putenis/Blizzard of Souls」(2019)

ラトヴィアの歴史を考えればこの激しいナショナリズムは理解できなくもないが、散見される普遍的ヒューマニズムはもっと掘り下げてほしかった。戦闘シーンの激しさは見事。

2021年12月3日金曜日

映画「RUN FOR COVER」(1955)

流石Nicholas Ray。先住民への偏見や死者への哀悼の物足りなさを除けば、半世紀以上の歴史の風雪に耐える現代性を未だに持ち続けていることは賞賛に値する。集団の移動を捉えるカメラの一種独特の魅力も忘れ難い。James Cagneyも適役。

2021年12月2日木曜日

映画「For Whom the Bell Tolls」(1943)

原作の魅力をIngrid Bergmanの名演がさらに輝かせる。

2021年12月1日水曜日

映画「The Machinist」(2004)

話としてはありきたり。Christian Baleの賞賛すべき役者魂のみが光る。

映画「Spellbound」(1945)

Alfred Hitchcockの多くの作品と同様、この作品も今となっては時代遅れの感が強い。絶頂期のIngrid Bergmanが独りこの作品に永遠の生命を与えている。