Most Likely to Succeed
内容自体(分かる奴には既に気づいていることばかり、分からない奴には何のことかさえ分からないことばかり、という取り付く島もないようなテ-マ)よりも、今は別の点について書きたい。
Malcolm Gladwellに関しては評価の分かれる点もあるようだが、しかしすぐれた書き手であることはこの文章からも分かる。
すぐれた書き手・文章には大別して2種類あると思う。まず、読者の既に知っていることは全体の5%しかなく、残りの95%を読者の知らないことを教えることに費やすタイプ。研究論文がその典型。そうでない論文はそもそも論文ではない。もう一つはその逆のタイプ。Gladwellは後者である。この記事の場合は内容の95%は私はよく知っている。珍しい話でもなんでもない。しかし5%という小さな部分でうまくそれらを連関させ、最後にこちらをもう一度スタートラインに、或いはもう一つ異なった次元に放り出して、突然、終わる。読者が既に知っていると思い込んでいたことは実は全然分かってはいなかったのだ、と読者を突き放し、読者に今度は自分の力だけで問題を掘り下げてゆくよう要求し、はい終わり。
いい文章には2種類あるが、高等教育におけるいい教師には後者のタイプしかないと思う。なぜなら前者のタイプの教師と付き合うぐらいなら、書物を読んだほうがあらゆる意味で意義があるからだ。
Malcolm Gladwellはいい教師でもある。
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