2008年8月19日火曜日

指導助手

 着任した。指導助手のポストがブルガリアに割り当てられるのは初めてである。ブルガリアの日本語教育に大いに貢献してほしい。

2008年8月18日月曜日

知識と資本

 私は基本的にはどのような領域でも基礎知識に関しては無料で誰にでも提供されるべき時代が来ていると思っている。Paulo Coelhoについては前に紹介したが、Preston McAfeeのような一流の学者がリードしている動きも歓迎する。経済学に関心がある人には彼の著書のこれが質的にも最良であろう。そして完全に無料である。こういうものを基礎に勉強を続け、後に続く世代は人類のためにさらによい仕事をしてもらいたい。
 Introduction to Economic Analysis

最終兵器としての悪ふざけ

 言わずと知れたAlan SOKALの「論文」、Transgressing the Boundaries: Towards a Transformative Hermeneutics of Quantum Gravity
 リサイクルさえできぬような「ゴミ」の大量生産を永久に断念した元「研究者」は、この瞠目すべきペテンを思い出すたびに「ああ、引退してよかった」と思うのである。

2008年8月17日日曜日

「徹底的に真剣にやる悪ふざけ」

Is Jon Stewart the Most Trusted Man in America?
 見逃したときに僕が残念に思う唯一の番組である。Jon Stewartのような人物がいて、それを支えるすばらしいチームがいて、そしてそれを享受する能力のある多くの視聴者がいること。これもアメリカ合州国の持つ底力の一つだろう。

2008年8月15日金曜日

新しいフェミニズム

 辛くとも認めねばならぬ厳然たる事実から出発する苦い諦念と提言。言いたい放題の威勢のいい時のBarbara Ehrenreichとはまた異なる姿がここにある。そして恐らく彼女の真骨頂は寧ろこういうところにある。
A uterus is no substitute for a conscience

書評の意義

 私のような自然科学の素人はその領域の書物などまず買わない。しかし無知のままでいいと思っているわけではない。このような簡潔(これは重要である)で優れた(これはさらに重要である)書評は、そのような人間にはとてもありがたいものである。
 Code breaker

心の闇

Tokyo rampage suspect's warning unheard
 取材内容の大部分も都知事の発言も何も産み出さない通り一遍の「解釈」に終始している。しかし、最後のエピソードが多くのことを示唆して読者を思考に誘う。リンクがうまく行っていないようなので、最後の部分のみ引用する。
""There were many onlookers taking pictures of my friends as they were dying," said a university student quoted in the Shukan Shincho, a popular weekly magazine. "I tried to stop them. But they never stopped. They were trying to show off that they were there.""
 8.15.に改めて戦後日本の来し方行く末を思う。

News on Japan

 便利なサイトを教えてもらった。日本研究を志しているがまだ日本の新聞が読めないレヴェルの学生諸君は毎日の勉強をここから始めるとよい。NewsOnJapan.com.

Slavoj Zizek

Peter Hallwardの"Damming the Flood: Haiti, Aristide and the Politics of Containment"を書評している。Democracy versus the people
 Zizekほどのレヴェルともなれば、さらさらと書き散らしたようなものでも最低限この程度の文章にはなるという好例。
 彼の書くものには、必ず何か新しい思考の種子が埋め込まれている。

2008年8月13日水曜日

Marcel Proust『失われたときを求めて』

 きのう英訳を買って読み始めた。長年の宿題を一つ一つ片付けていくことは負債の返済にも似ている。
 それよりも何よりも、読み始めたばかりなのに、これは僕にとって(も)本当に大切な書物になるという確信を抱く。
 限りある人生、やはりつきあう相手は選んだほうがよい。

ロボット、ロボット。

Not Quite HAL 9000, But It Vacuums
 僕は教師なのでこういう話を聞いていてもすぐ自分の仕事のことに結び付けて考える。
 いよいよこういう時代が来たのだ。いま仕事をしている人たちの首はたぶん大丈夫だろうが、これから(言語)教師を目指そうという人は覚悟しておいたほうがいいかもしれない。ロボットとポストを争わなければならない時代はもうすぐそこまで来ている。

2008年8月12日火曜日

ЙОВКОВ, ЙОРДАН

"The White Swallow", "Albena", "Ivan Belin's Sin"を読んだ。"Ivan Belin's Sin"の冒頭、主人公が母狼に注ぐ眼差しの描写がよい。

夏目漱石「一夜」

 蛇足としか呼べぬ最後の坊主の説教めいた部分を除けば、珠玉の一品。

EUの将来像

 Jürgen Habermasは健在である。政治家たちに彼を理解する能力があるか否か。A SEARCH FOR EUROPE'S FUTURE

今日のLiaison情報

アイハウス夏祭り"The賑(にぎわい)"

2008年8月11日月曜日

芥川龍之介「戯作三昧」

 すばらしい作品である。私には想像もできないが、物書きというのはどうやらものすごい世界に生きているらしい。

ドライヴァー心理

Slow-Moving Vehicle
 Mary Roachも言うとおり、すべてのドライヴァーがこの本を読むべきである。少なくともこの記事だけは読んでもらいたい。

???

CNNから"Israel launches missiles at southern Iran"というAlertが送信されてきて既に24時間経過したのだが、他のメディアはまったくカヴァーしていないようだ。一体どうなってるんだ?

メジャーとマイナー

総理大臣のオーラとは何か?
 私は基本的にはウェブ上にあるものの99.9%はゴミに過ぎぬと思っているが、大手商業メディアが腰が引けて書けないことを鋭い(かつ成熟した)切り口でさらっと書く山崎元のこういう文章を読むと、やはりalternative mediaの存在意義を再認識する。

ブラックホール?


Black Hole Candidate Cygnus X-1 (Click the picture to enlarge. Credit: ESA, Hubble)

今日のLiaison情報

お盆も休みません。

2008年8月9日土曜日

森鷗外「そめちがへ」

 すばらしい。。。音読をお勧めする。

любовни дръжки

 「愛のハンドル」。「愛の掴み」。ウエストのところの脂肪を指す。ブルガリア独特のユーモアを表す表現として面白がって捉えていた。「ああ、深く愛している相手でもなければとてもじゃないが掴む気になれない部分という意味だね。」と冗談を言いながら。
 ところがきょう英語にもlove handleという表現があり、同じ箇所を指すことを知った。любовни дръжкиという表現を知らないブルガリア人が多いことを合わせて考えると、どうやら英語からの翻訳語らしい。
 それから、handleという単語から、この表現に対するもう一つの解釈に思い至った。愛する人と向かい合って軽く抱擁する時、軽く手を当てる箇所がこの箇所だということに気づいたからだ。まさに「愛のハンドル」というわけだ。
 だからなに?と言われても困るのだが。

Елин Рахнев

"Offside: A Monologue for Two"を読んだ。この人の将来性は特筆に価する。

2008年8月8日金曜日

Paulo Coelho

 大した男だ。Up close and personal
 こちらもどうぞ。自ら著作の「海賊版」を公開している。Pirate Coelho, Coelho Box(現在英語訳は5ページあたりにある。)
 ブルガリア語訳やロシア語訳はこちらNoel’s Weblog。 Coelhoが自身のBlogPirate Coelhoで紹介している。

戦争とサーカス

 コーカサスでまた「戦争」が始まった。厚く垂れ込めたスモッグの下「鳥の巣」の中で莫大な無駄遣いの曲芸を見ながらへらへら笑っている指導者(たち)の正気を疑う。

京都教育大学職員サッカー部

部員及びサポーターの方はふるってご参加を。
ーーーーーーーーー
2008年第3回紅白戦
日時:9月6日(土)8時~12時
場所:桃山場グラウンド
ゲーム:試合形式90分1本 + 延長戦(自主参加)

Димова, Теодора

なかなかよい作品である。Неда и кучетата
英訳はこちら。Neda and the dogs

夏目漱石「マードック先生の『日本歴史』」

 漱石が研究でなく創作の道を選んだのは彼自身のためにもよいことだったようだ。

トラキアの四輪馬車発見その2

 復元展示が待ち遠しいと昨日書いたが、今日来たAPの記事Bulgarian archaeologists discover ancient chariotを読むと、この発見に際して政府が支出を決定した補助額が $3,900だという。
 幸いAPの記事には発掘直後の写真もある。早く復元展示を見せてほしいとは言わないので、専門家の方々には最善の保存をお願いしたい。

森鷗外「サフラン」

 「宇宙の間で、これまでサフランはサフランの生存をしていた。私は私の生存をしていた。これからも、サフランはサフランの生存をして行くであろう。私は私の生存をして行くであろう。」

きょうの呆れたニュース

 山崎元が今日も鋭い分析をしている。

毒入り餃子事件の情報を隠蔽した日本政府

 日本は本当にどうかし始めている。

2008年8月7日木曜日

今夜のMezzo

 Gil ShahamClaudio AbbadoBerliner Philharmonikerでブラームスの協奏曲。

 今や世界最高のヴァイオリニストの一人になりつつあるShahamの魅力が最高に発揮された名演だった。驚異的な技術をベースに名器ストラディヴァリウスを存分に劇的に歌わせる。私はこのタイプの音楽家が好きだ。まだ30代のはずだ。これからが本当に楽しみである。

  彼はベルリン・フィルともアバドともとても相性がいいようだ。相性というよりも、世界最高の者たちの間だけで分かり合える何かがあるのだろう。三者が相互を高めあい、極めて充実した競演を聴かせた。楽団員たちの表情が演奏中もその後も終始生き生きとしていたのも印象的だった。

 こういう稀有な名演を聴くと、僕は大げさでなく本当に生きる喜びのようなものを感じるのだ。

トラキア時代の四輪戦車の発見

完全な形で発見されたのブルガリアでは初という。復元展示が待ち遠しい。Bulgaria Archeologists Unearth 1900-Year-Old Thracian Chariot

2008年8月6日水曜日

日本の食糧自給率の下げ止まり

Reliance on imported food dips modestly
 といっても自己努力によるものではないことは農水省自身の説明からも明白である。
 世界的に農業の重要性はますます高まりつつある。補助金漬け政策を転換し、構造的改革に踏み出さない限り、日本の農業に未来はない。

呆れたニュースその2

 New public transport fare system to be launched in September
 なんで内務省職員にだけフリーパスが出るの?

呆れたニュース

Ancient sanken ship near Varna savaged by fishing boats
 関係するパーティの中のたった一つでもやるべきことをやっていたら防げたはずの不祥事。お粗末としか言いようがない。

Compassion論

How an Emotion Became a Virtue
 簡潔にして平明、そして論理的。素人にも分かりやすく解説する能力の高さを証明する文章。研究論文ではないため、必ずあるはずの内的矛盾や留保などをすっ飛ばしており、その点では物足りないが、一般向けだから当然だろう。これまで知らなかったがClifford Orwinという人は優秀な学者だと思う。

Daniel Barenboim

 最近Mezzoで聴くことが多い。今もベートーヴェンのソナタを演奏していた。
 僕がクラシックを聴き始めた30年以上前の頃は颯爽としたお兄ちゃんという感じだったが、年齢と共に深みを増し、今や押しも押されぬ巨匠である。先ほどのベートーヴェンにしても、これだけの精神性を湛えた演奏ができるのはいま彼だけではないだろうか。
 いま彼は最後の輝きを放ちながら、激動の人生の締めくくりの段階に入ろうとしているかのようだ。

2008年8月5日火曜日

豊作

 今年のブルガリアは小麦も大麦も豊作である。ともにここ16年で最高だという。少なくとも近隣諸国も同様の豊作だろう。市場価格に連動して良心的にこまめに値段を変える近所のコンビニのパンがここのところこの1年で最低の価格になっているのもそのせいだろう。16%台というひどいインフレに苦しむブルガリアにおいて、日常生活で最も大切な食品であるパンの価格が下がるというのは稀な喜ばしいニュースである。もちろん私もとても嬉しい。
 
Bulgaria with Record Production of Wheat and Barley in 16 Years

「猫の目」星雲

(Click the pic. to enlarge)
X-Rays from the Cat's Eye Nebula
Credit: X-ray: NASA/CXC/SAO; Optical: NASA/STScI

Камен Донев

"THE RUNAWAY PLANE"を読んだ。
 決して分かりやすくはないが、いかにも現代演劇らしい仕掛けに満ちた作品。

2008年8月4日月曜日

面白うて、やがて哀しきмутри譚

Láki Námberz

「日本」の変容

More children born with a foreign parent

 子供たちの基本的人権の問題は言うまでもないが、社会・文化・経済などの面における多様な豊かさを産み出すための始まりの始まりとして、政府はともかく社会がこの現象を積極的に生かそうという姿勢を取ることができるかどうか。
 お手並み拝見。

Rachel Corrie's diaries

 この人はただものではない。。。最後までただものではなかった。
 
'I will dance and play basketball and I'll have real stories to tell. I won't just be a sack of words ...'

Христо Бойчев, "Полковникът-птица"

 英訳("The Colonel Bird")で読んだ。
 「面白うて、やがて哀しき・・・」バルカンのユーモア。
ユーモアに共通するものが感じ取れるЕмир Кустурицаと違い、Бойчевが哲学や文学を――広く浅く、であれ――勉強している――特にこの作品では「言語ゲーム」理論が素朴な形で適用されている――人だということがよく分かる作品。それも西ヨーロッパの演劇人たちから一定の評価を受けている一因なのだろう。
 このレヴェルをもっと読みたい。

2008年8月3日日曜日

夏目漱石「それから」

 読了。結局、最終的に代助はどうなるのか。
 漱石は「予告」において書いている。色々な意味に於て「それから」である。「三四郎」には大学生の事を描たが、此小説にはそれから先の事を書いたから「それから」である。「三四郎」の主人公はあの通り単純であるが、此主人公はそれから後の男であるから此点に於ても、「それから」である。
此主人公は最後に、妙な運命に陥る。それからさき何うなるかは書いてない。此意味に於ても亦「それから」である。」
 若々しい三四郎が近代日本の希望だとすれば、その矛盾と挫折とを体現しているのが代助だという解釈もできるのだろうか。
 しかし、それにしても、漱石の作品に出てくる男たちの多くは、女たちに比べ、ひどく魅力がない。それだけ明治日本のヨーロッパとの葛藤と矛盾が深刻だったのだと言われても、魅力がないという事実は変わらない。
 若い頃に比べ、自分の好みが漱石から鷗外へと大きく傾いてきていることを改めて想う。

外国人看護師・介護士受け入れ開始

 いよいよ始まる。朝日・読売両紙が取り上げている。外国人労働者問題を需給関係に基づいて捉える思考法が早晩破綻することは世界の事例を見れば明らかだ。受け入れるからには可能な限り家族単位での在留を認めるなど、個々の労働者の幸福の追求を基本に据えた政策が必要だ。「しあわせ」とか「人類愛」などというおめでたい概念を振り回したいわけではない。功利主義的に見ても国家や経済界はその福祉原則を基本に置いたほうが長期的には「得」をするということを言いたいだけである。

ケアの開国職場の魅力が問われる

外国人看護師 大切な人材として育てたい

きょうのLiaison情報

メンバーズカード

2008年8月2日土曜日

ガルシア・マルケス『族長の秋』

 読了。彼ならではの想像力と考え抜かれた構成とがあいまった見事な作品だと思う。
 独白者が絶え間なく、断りなしに変転し続けるこの文体は日本語(最初から彼はこの言語で書くべきだった)ならともかく英語などに翻訳する時にはどうするんだろうと苦笑もしながら読んだ。
 奇妙な夢に悩まされる夜たちも終わる。それが少し寂しい。

Suicide Solution

 バブル崩壊後の日本でもそうだったし、それは現在も続いている。悪くなりこそすれ改善はしていない。同じような状況がアメリカ合州国でも進んでいる。「バカな」日米の消費者だけの問題ではない。どこでも誰にでも起こりうることだ。うちだけは、とか、私だけは、などと思わないほうがいい。Suicide Solution

READING THE OED, One Man, One Year, 21,730 Pages.

世界には面白い人がたくさんいるものである。とてもかなわない。
 READING THE OED, One Man, One Year, 21,730 Pages.

三つ目のトイレ

Thai school offers transsexual toilet

 このニュースにより、この学校が、ひいてはタイの教育や社会が、世界が見習うべきものを十全にもつことが証明された。

 自己愛を持ちたいのなら、自らを愛する価値のあるものにするための努力をすることだ。

2008年8月1日金曜日

Susan George in Japan

Japanese welcome
 ことあるごとに国益国益とほざく「愛国者たち」ほどその無知ゆえに「国益」を損ねているという、よくある話の一つ。
 日本に関する文章はとかくまじめなものが多くて、時に退屈してしまうのだが、これは笑わせてくれた。彼女はまじめに怒っているのだろうが、しかし笑ってしまった。私は愛国者ではないので、それはもちろん苦笑ではなく、
Garcia Marquezを読む時のと同じ、心の底からの哄笑であったことを念のために付記しておく。

言語教育の目的

 Gloria Origgiがシンプルだがいいことを言っている。楽観的な見方に過ぎるという批判は可能だが、少なくとも言語教育に携わる者はこれぐらいの思想は小脇に抱えて日々の仕事をしたいものである。Take the talking cure

ブルガリアの若者の意識

Around 13 % of the young Bulgarians (under 30) think that their best option for successful career is to work abroad for a short period of time.
 この記事では他に、現在外国で学習・就労している30歳以下のブルガリア人のうち将来の帰国を計画している者の割合が1%に過ぎず、逆に永久に或いは長期でブルガリアを出国したいと考えている者はその9倍いるというデータが紹介されている。
 こういう数字は情勢次第でこれからもコロコロ変わるだろう。しかし、現在のブルガリアが依然として決して楽観できない状況にあることだけは間違いない。

芸術

 勉強に疲れ、寝る前の歯磨きの間だけと思いMezzoをつけた。
 ラトル、ベルリン・フィル、バレンボイムがブラームスの協奏曲2番をやっていた。耳に飛び込んできた最初の一音だけで眠気は吹っ飛んでしまい、結局最後まで聴き入る結果となった。
 すべての領域において、至高のものというものがある。もう僕はそういうものしか受け付けない人間になってしまった。

2008年7月31日木曜日

日本における弁護士の位置

In rural Japan, a shortage of lawyers
 読者を色々と考えさせる視点をちりばめた面白い記事だ。日本の記者なら書かない/書けないだろうと私が面白く思ったのは、まだ弁護士が挨拶に来ないと市長が怒っているというエピソードだった。この挿話からは以下のような種々の視点が導き出せるだろう。
 日本社会において法というものがどのような位置を占めているか、弁護士という職業がどのような眼差しで捉えられているか、さらにはそもそも日本社会においては歴史的に種々の利害対立をどのように処理してきたのか、などというところまで読者は考えようとするかもしれない。
 
日本に取材したNorimitsu Onishiの記事は以前からNYTimesでよく読んできたが、読者の問題意識を喚起しようという姿勢を明確に持ったこのような優秀な人の手になる記事をさらに期待する。

2008年7月29日火曜日

進路について

「一流会社の二流社員」か、「二流会社の一流社員」か?

 山崎元が今日もいいことを言っている。「自分が好きだと思える仕事をすることと、なるべく早く自分の仕事のスキル・レベルを上げて自分の人材価値を作ること」。
 「人材価値」という表現などに表れる金融専門家らしい価値観に違和感を感じることが時折りあることも事実だが、しらっとした顔でこんな誰でも言いそうなことを言う、その底の、この人の芯の部分にある「まっとうさ」を私はかなり信頼している。

きょうのLiaison情報

ケニアのハーブティ

2008年7月28日月曜日

EHRENREICH, Barbara

 America's last taboo
 Guardian魂はまだ残っていると感じさせてくれるインタヴューではあるが、もう少し切り込んでほしかった。

2008年7月26日土曜日

宇宙・時間・エントロピー

Mysteries of time, and the multiverse
 Sean Carrollは明晰な説明のできる稀有な科学者だ。

日本像の変容

Japan's newest growth industry: Asian tourists
 これも一つの表れだろう。経済効果は別として、(東)アジアの平和と安定にも貢献できるものだとすれば観光だといって馬鹿にするのは間違いなのだろう。

El otoño del patriarca

 Gabriel García Márquez。1975年作品。
 彼の作品のいずれにも言えることだが、私の場合はどうも意識下で大きな影響を受けるらしく、彼の作品を読んでいる間は奇妙な夢を見ることが多い。
 それはこの『族長の秋』にもあてはまる。目覚めてからも、ああさっきの夢はあのシーンの焼きなおしだなとか、さっきの夢の中の僕の台詞は彼の文体の真似をしていたんだなとか、と気づくことが多い。
 恐るべき作家である。

2008年7月25日金曜日

ブルガリアのベビーブーム

The baby boom in Bulgaria
 珍しく現代ブルガリアを(/の一面でも)分析したものかと期待したのだが失望した。おまえがまだブルガリア語ができないからだという声が聞こえてきそうだが、現代のブルガリア社会を分析したもので自信をもって推薦できるものがあるなら教えてほしい。辞書と首っ引きをしながらでも読むから。

ミツバチ

 室内で育てている鉢植えの花に次から次へとミツバチがやってくる。開け放した窓を通って、いまも一匹やって来ている。一生懸命花から花へと蜜を集めている。それはいいのだが、窓ガラスに阻まれて外に出られずじたばたしていることが多い。
 この前ヨーロッパ中のミツバチがほぼ壊滅した時にも全く被害を受けなかったブルガリアのしたたかなハチたち。
 がんばれよ、と声をかけて窓外に送り出す。

Arthur Schnitzler, "ANDREAS THAMEYERS LETZTER BRIEF"

 森林太郎訳「アンドレアス・タアマイエルが遺書」。
 人間の内奥を容赦なく抉ってやまぬ。怖るべき作品。

Mirrors Don’t Lie. Mislead? Oh, Yes.
 そもそも僕は鏡を使って自分を見るという習慣を持っていないのだが、それにも実は僕自身が認めたがらないような深い意味があるのかもしれないね。 

きょうのLiaison日記

トウフクロ展 そのまま。

2008年7月24日木曜日

戦後日本と産業

 Japan Sees a Chance to Promote Its Energy-Frugal Ways
 戦後日本は新憲法の下で「人類の幸福と平和」をキーワードに、よたよたしながらも、歩みを進めてきたと思う。それは産業人にとっても同様だったはずだ。
 ますますグローバル化が進み、自国民の幸福と平和は地球大のそれと密接不可分になりつつある。矮小な「国益」「社益」概念のみに囚われぬスケールの大きな見取り図のもとに着実に歩みを進めることが重要だ。「平和」「環境」「衛生」「健康」。。。一見耳障りのよいことばたちが偽善的な口実に成り果てることのないよう望む。

huge living-box

 Michail Ryklin, In the burning house
 ただただ息を呑む。

きょうのLiaison日記

彩--irodoru--いよいよ明日から。

2008年7月23日水曜日

mall of education

 ヘーゲルもマルクスもフロイトも教えない大学は大学ではない。
 Gone, and Being Forgotten

安西篤子『千姫微笑』

 読ませる。直木賞を取るような作家とはこういうものなのだろう。成熟を感じる。

孤独の密かな楽しみ

 短いがいい文章だ。
 A Secret Society of 30 Million
 Klinkenborgさん、もっといい方法がありますよ。読者が3人ほどしかいないブログを営々と続けること。これです。
 と、ここまで書いて、Klinkenborgの文章にはほんの四日前にも惹かれると書いたばかりだということに気づいた。また一人好きな書き手を見つけることができて幸せなことである。

きょうのLiaison情報

フェアトレードひょうごネット特別セミナー&フェアトレードフェア

2008年7月21日月曜日

銀河の衝突

(Click the pic. to enlarge)
The Colliding Spiral Galaxies of Arp 271
NGC 5426とNGC 5427。二つの螺旋銀河の衝突。通常はより大きな銀河のほうが小さいほうを呑み尽くすのだが、このケースは衝突後も双方共に生き残ると予想されている。

きょうのLiaison

オーガニックコットンTシャツsummer sale

2008年7月20日日曜日

『蟹工船』

 数日前にここでも触れた多喜二の『蟹工船』ブームを東京新聞の名社説シリーズ「週のはじめに考える」が取り上げた。いつもほめるのは少し癪にも触るのだが、日本の新聞の社説ではこの「週のはじめに考える」が飛びぬけてすばらしい。日本研究を志す学生諸君にはせめてこのあたりを出発点にしてほしい。
 『蟹工船』が着く港

もう1年まだ1年

 1年前のちょうど今日、私はここSofiaにやってきた(厳密に言うと延着のせいで日付は変わっていたが)。

 自分では気がついていなかった。何人かの人に指摘されて気がついた。

 自分よりも周囲の人たちのほうが私の生活のことをよく知っているというこの事実が、端的に、私が日本を出、ここで充実した生を送ることができていることが、己の力によるものではまったくなく、実はひとえに多くの人々の善意や理解によってもたらされたものに他ならないということを物語っている。

 仏教徒がよく使う「生かされている」ということばはこういうことを指しているのかもしれない。

2008年7月19日土曜日

第4回ブルガリア日本語教育セミナー

 会員の方はお忘れなく。また翌日の日曜日には教師会の「懇談会」と「日本語勉強会」も開催されます。詳細はお問い合わせください。
国際交流基金「海外日本語教育ネットワーク形成助成プログラム」支援
「第4回ブルガリア日本語教育セミナー」
非漢字圏出身学習者に対する漢字教育: KanjiKreativ採択セミナー&ワークショップ
日程:2008年7月24日(木)~26日(土)
会場:ブルガリア・ソフィア大学東洋言語文化センター 
(79 Todor Alexandrow Blvd, Sofia 1303, Bulgaria)
テーマ*:非漢字圏出身学習者に対する漢字教育:
KanjiKreativ eラーニング・プログラム採択-「漢文字から漢字文脈化」へ
講師:山田ボヒネック頼子 (ベルリン自由大学日本学科准教授)
問い合わせ:アルベナ・トドロヴァ(albena_bem@yahoo.com

In Egypt, inflation means one precious day at the beach
 確かに海はいい。人として生を受ける時に賦与されたはずの無条件の平等を享受させてくれる場はこの世知辛い現代では他にはほとんどない。ここブルガリアでもSofiaっ子の多くが夏になれば黒海まで出かけていきたくなることの中にもそういう気持ちが働いているのだろうか。
 この記事の文章には単なる外国事情紹介とは一線を画した一種の詩情があって好感を持った。

Ephesusと木星

(Click the pic.to enlarge)
Jupiter over Ephesus

治安

 ブカレストのCASA LUI HIRAMIEさんの周辺で物騒なことが頻発しているようだ。
 僕の周辺はこの1年平穏無事だったんだよなあ。裏で火事があった(おかげでSofiaの消防士の技術水準が分かった)のと、時折り銃声らしいのが聞こえた(近くじゃないからここまでは流れ弾は飛んでこないよと友人に言われた)のと、Sofia郊外の軍の武器庫が大爆発した(早朝から花火かよと起こされた。さすがにこの事件はBBCでも取り上げられた)ぐらいしかない。いつもリュックのファスナーが開いていると友人にたしなめられるが、まだすりにも引ったくりにもお目にかかっていない。
 まあ、そろそろなんでしょう。

今日のLiaison情報

Ogura Taketo展

2008年7月18日金曜日

кайсия

 スモモ。アプリコット。
 最近とても好きになった。食べやすく、僕の大好きな熱帯のフルーツ類に近い味を持つ。

ブルガリアの腐敗

 来週水曜に公表されるはずだったEU CommisionのOLAF reportがリークされ大騒ぎである。EUがメンバー国に対してここまで容赦ない批判を加えた例はこれまでなかったという。ブルガリアは610,000,000€(1,06o億円)の補助金を失い、Schengen zoneへの参加も危ぶまれることになる。
 既に加盟している諸国やEU参加を目指す諸国への一罰百戒の狙いも込められているようだが、なぜ努力しない国のために我々の税が浪費されねばならないのかというEU市民の批判も頷ける。
 私の知る若い人たちの多くは現政府に対して憤りを感じている。それが希望といえば希望だろう。
 EU plans to block aid to Bulgaria

2008年度京都教育大学国文学会

下記要領で開催されます。会員の方は振るってご参加ください。
日時 2008年8月2日(土)13:20~
場所 京都教育大学 F16(F棟16教室)
研究発表・講演者および題目
■研究発表
1. 「~たり~たりする」という形は標準的か?
  ―コーパスからみる母語話者と学習者の実態―
     大阪府立大学大学院・本学非常勤講師  中俣尚己
2. 小学校二年生の国語教室―一年間の取り組みを通して―(仮題)
     草津市立志津小学校教諭        橋詰加奈
3. 言語感覚育成の取り組み―連句創作、俳句創作の試みを通して―(仮題)
     私立東山高等学校教諭         柴田昌平
4. 漢文をジャンルで考える
     本学准教授              谷口匡
総会 16:20~
懇親会 17:00~ 会場・職員会館(会費3,500円)
(問い合わせ先:事務局
kokubun@kyokyo-u.ac.jpまで)

VERLYN KLINKENBORG

Summer Wind
 THE RURAL LIFEはNYTimesの中でも僕が最近愛読している欄である。こういう種類の文章を愛するようになったこと。このこともここブルガリアに住むようになってからの僕がいかに変わってしまったかを物語っているように思う。一番驚いているのはもちろん僕自身である。

楊逸の芥川賞受賞

 各紙社説が取り上げている。
 読売新聞(芥川賞 外国人が日本語で書く時代)がひどかった。一応祝福はしているものの、どうも文学には暗いらしい(筆者は恐らく受賞作を読んでさえいない。)読売のいつもの社説らしく、極めて浅薄な話に終始している。「日本文学」は「日本人」の手になる文学だという未検討の俗説に未だ囚われている。「日本語文学」という新しい概念も知らないようだ。「外国人の感性が刺激となって、日本文学にも新たな活力が生み出されていくことだろう。」という結びの言葉がその限界を端的に物語っている。せめて、朝日新聞(芥川賞―外から吹き込んだ新風)や東京新聞(芥川賞 新しい物語の始まりだ)程度の教養のある者を編集委員に加えるべきだろう。

木たちと私たち

 Alan Jocobsの手にかかると、単なる書評が一個の作品となる。
 The Life of Trees

2008年7月17日木曜日

ゲリラ的哲学・文学愛好者のための宝箱

 但し一切の始末をご自分でなさる覚悟をお持ちの方のみ蓋をお開け下さい。
 Textz

卒業文集

 学生会からの依頼でアンケートに回答したのだが、みっともなくてよそには言えない事情で教師たちの回答は掲載されなかった。ブログに載せたらという勧めに従いここに載せる。
ーーー
氏名:駒田聡
学年:51年生
使える言語:日本語を少々。
日本語を学んでいる理由:まだ十分に日本語ができないから。
趣味:勉強。
特技:なし。
好きな/嫌いな食べ物:ほどよい塩味のсирене/塩からすぎるсирене
好きな/嫌いな映画:10回観てもまだ新しい発見がある映画/9回観れば全部分かってしまう映画
好きな/嫌いな歌:「風に向かって立つライオン」/「君が代」
好きな/嫌いな動物:人間以外のすべて/人間
皆へのメッセージ:Haiho!

杉本苑子『穢土荘厳』

 歴史に関する該博な知識が魅力。人物造型や物語としての結構には物足りなさを感じる。
 前に触れた海音寺潮五郎もそうだが、歴史小説を読む際には、また独特の期待値を設定したほうがよいようだ。

2008年7月16日水曜日

バラの谷

 ブルガリアの夏の早朝の空気の気持ちよさは世界一だ。
 言うまでもなく私は香水に興味はないが、朝露をのせたバラに溢れた谷を歩いてみたいとは思う。
 乱開発に泣くブルガリアの美しい自然。100年後もその輝きを保ち続けられるか。
 自然環境の真の価値がいつ本当の意味で認識されるか。それがこの国の将来を占う鍵の一つになる。

Bulgarian valley turns from guns to roses

2008年7月15日火曜日

芥川龍之介「鬼ごつこ」

 「妙に真剣な顔」。必死で何かを追い求めている顔。

Satireというもの

 THE NEW YORKERの今週号の表紙が物議を醸している。
 The Politics of Fear
 いつも薬味の効いたイラストを描いているBarry Blittの作品だが、Obama陣営(彼の選挙マシーンの特徴だが、微妙な問題に関しては今回も本人は記者会見で肩をすくめるだけにとどめ、まず陣営のコメントとして出している)は"tasteless and offensive"とコメントしている。ライヴァルの共和党候補からもやりすぎと批判され、THE NEW YORKERは共和党陣営がObamaに被せようとしているイメージを逆手にとってからかったものと説明している。
 候補者たちにとっては生死を賭けた戦いである選挙という文脈においては「洒落にならない」ということなのだろうが、しかし、その文脈を離れてみれば、この程度のSatireは同誌には珍しくないし、愛読者の一人としては逆にそれぐらい批判精神に基づいたからかいを抜きにしては同誌の魅力は半減する。
 暖炉で星条旗が燃やされ壁にOsama Bin Ladenの肖像がかかる大統領執務室でイスラム教徒の(ような)格好をしたObamaがカラシニコフを担いで戦闘服を着た奥さんとfist bumpをしている。これほど露骨にこれはSatireですよとメタメッセージを込めているのにそれでも大騒ぎするということは、逆にそれらの要素そのもののもつ問題性を抉ってゆくという知的営為の芽を摘んでしまう危険がある。よもやそんなことはないと思うが、同誌がこれに怯んで自己検閲を強めぬことを望む。
 Satireとは何か。鍵はObama陣営の言うtastelessにあるだろう。tasteがなければ洒落は成立しない。こちらをにやりと笑わせ、次なる思考へと導いてくれるような高度な知性を持たないのであれば、そもそもSatireという手段に訴えてはならない。
 え? はいはい。気をつけます。

日本の仏教

 なかなかよく取材している。
 In Japan, Buddhism May Be Dying Out
 日本の社会における「宗教」の位置というテーマはとても面白いものだと思うが、よほど深い調査分析をした上でなければただのお喋りになってしまうテーマでもある。その意味でこの記事は分かったような顔をしない、禁欲的で落ち着いた記述で好感を持った。