2008年3月6日木曜日

森鷗外「阿部一族」

 時代的制約の下で鷗外が貫こうとした近代的批判精神。この作品にはこけおどしの「武士道」も「もののふ」の菊人形もまったく登場しない。出てくる人物は一人残らず長所欠点を共に備えた生身の「人間」たちばかりだ。
 「武士道」の度し難きイデオロギー性を暴いた鷗外の精神は現代日本に受け継がれているのだろうか。

0 件のコメント: